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金型があるおかげで量産が可能になる

その技術力の高さから、CHAMPION CORPORATIONがカバーできる需要の範囲はどんどん広がっています。
現在においては、医療機器などの精密機械用部品や、ドリル類などの治工具用精密部品も多く生産しています。しかし、長らく主力製品としているのは金型部品です。
一般の人にとって金型はあまり馴染みがないかもしれません。
身近なもので想像しやすい金型は、たい焼きの鉄板です。手作業でひとつひとつ成形するのではなく、鯛をかたどった型に生地を流し込むだけで、複数の同じ形のたい焼きを一度に作ることができます。
それでは、家電製品や自動車がどのように製造されているか想像してみてください。
自動車メーカーや家電メーカーの多くは、お金をかけて開発・設計した製品を、大量生産・大量販売しています。製品を大量に生産するためには、生産台数に応じた数の大量の部品も必要となります。そこで金型が登場するのです。
金型を使うことで、製品の大量生産に必要な部品を、“全く同じ形”で、“高効率”で生産できるのです。部品の効率生産のために、金型は必要な部品の種類の数だけ製造されます。1000種類の部品が必要な場合には、それらに応じた1000種類の金型が必要というわけです。
一般の人にとってなじみのないと思われる金型は、実は、私たちの身の回りにある製品の生産に欠かせないものなのです。金型は、製造業だけでなく、人々の暮らしも支えている、とても重要なものと言えます。
そして、産業用の金型は、たい焼きに使う金型のような単純な構造ではなく、様々な精密金属部品を複雑に組み合わせてつくられます。私たちの主力製品である“金型部品”とは、そんな金型に組み込まれる部品のことを指しているのです。

―日本の金型業界の現在―
経済産業省が2016年6月に実施した、「経済センサスー活動調査」によると、金型専業か金型を主力にしている国内の事業所の数は6,535でした。
従業員数別の事業所数では、「金型メーカーはほとんどが従業員9人以下の町工場」という結果になっています。
また、経済産業省「工業統計」では、事業所の数と、金型生産額の推移の統計を発表しています。
金型業界全体として、事業所数は減少しているにもかかわらず、業績は回復傾向にあるという状況になっています。
金型業界にみられる業績回復は、日本が最も得意とする産業分野である、自動車関連と半導体関連が牽引しています。日本が世界に誇る自動車メーカーや半導体メーカーが必要とするのは、当然高品質の製品と、それを生産するための金型です。
彼らの要望に応えられる金型メーカーだけが、国内に生き残って業績を伸ばしているわけです。私たちはそんなお客様に対して金型部品を供給し、お客様のものづくりを支えています。

意外に多い金型の種類

金型には意外に多くの種類があり、主なものだけでも次のようなものがあります。
・プラスチック用
圧力を加えて溶けたプラスチックを流し込み、商品を作る金型(射出成型)や、温めて軟らかくした材料を流し込んで、真空状態にして金型に密着させるもの(真空成型)、流し込んでから空気を送り込み、その圧力で金型に密着させるもの(ブロー成型)などです。
・ダイカスト(ダイキャスト)用
鋳造用の一種ですが金属を流し込むときに、圧力を加えるものを特に区別します。一般的な鋳造よりも、精度が高くなる方法として考え出されました。日常見かけるものでいえば、カメラのボディーや自転車のエンジンなどがその代表です。
・プレス用
主に金属の板に圧力をかけて成形するだけではなく、切り抜きや、材料によって圧縮して変形させます。自動車、家電、日用品など、たくさんの部品を作るために用いられます。
・ガラス用
軟らかくしたガラスを型に押し込む「押型」と、軟らかくしたガラスを、空気で膨らませて型に密着させる「吹型」があります。ビール瓶は吹型です。
・ゴム用
金型に密着させる方法別に、「射出成型」など何種類かあります。
自動車でいえば、ボンネットやドアなどの、薄い金属板はプレス用で作られています。シャフト、歯車、エンジン内のピストンなどは、ダイキャスト用です。バンパーや、内装のプラスチック部品はプラスチック用、フロントガラス・窓ガラスはガラス用、タイヤはゴム用なので、「金型なしにできる自動車部品はほとんどない」といっていいでしょう。

日本の金型業界の現在

経済産業省が2016年6月に実施した、「経済センサスー活動調査」によると、金型専業か金型を主力にしている事業所の数は6,535でした。従業員数別にみると、次のようになります。
▶9人以下=4,644(71.7%)
▶10-19人=926(14.2%)
▶20-29人=414(6.3%)
▶30-49人=262(4.0%)
▶50-99人=206(3.2%)
▶100-199=61(0.9%)
▶200人以上=22(0.3%)
「金型メーカーはほとんどが町工場」と言えるでしょう。また、別の方法で統計を取っている、経済産業省「工業統計」では、事業所数の近年のピークは2000年の12,125です。そこから漸減傾向になり、2014年は7,820まで減少。生産額は2006年には4,880億円あったものが、リーマン・ショック直後の2009年には、3,159億円まで急落しました。3年ほど停滞したあとは回復傾向で、2017年には4,205億円まで回復しました。
事業所数は増加しないが業績は回復傾向にある状況は、「日本国内で好調な業界はどこか?」と考えれば分かります。その業界は自動車関連と半導体関連です。これらの企業が求める製作難度が高い製品を制作できる金型メーカーが恩恵を受けています。
この状況を簡単に表すと、「激しい競争の果てに生き残った企業は、得意の技術で製品の質を磨き、業績を伸ばしている」と言えるでしょう。